2011年8月8日〜12日、北海道教育大学 岩見沢校 アウトドアライフ専攻の授業として、大雪連峰のトムラウシ〜化雲岳縦走に入ってきました。
対象はアウトドアライフ専攻の2年生12名。大学院生2名がサポートと研究調査で入り、同大学の山本准教授と合わせて総勢16名。
学生たちは道内のみならず、全国から同専攻を目指して集まってきた頼もしい若者たち。
さすがアウトドアライフ専攻を志すだけあって、インタビューしてみるとほとんどの学生が小さい頃の自然体験を通して心の深い部分が揺れるような体験を持っていました。
(アウトドアライフ専攻
http://www3.alpha-net.ne.jp/users/totokaz/outdoorlife.html)
8日午前8時、大学に集合。
まずはこの授業のエッセンスを共有するため、スライド映写を交えた講義から始めました。
テーマは、チャレンジや達成感のみならずそれぞれの五感を含めた身体性に立っての自然体験。
そこからどんなことが生まれてゆくか。個人として、全体として…。
ヒマラヤや日本の自然のスライドにそこで感じた音やリズムを重ねて発振。次第に学生たちの表情が和らいでくるのを感じます。
パッキングを終え、大学のバスに乗りトムラウシ山登山口へ向けて出発!
初日はふもとのキャンプ場にて幕営。さっそく近くの沢を少しつめてみました。
水は本当に気持ちよく、みんな一気に山のこどもに…。
夜は焚火を囲んで楽しく!
8月9日。いよいよ登山の開始。
朝3時起床で森のなかの緩やかな道を辿ってゆきます。
高度があがるにつれ、爽快な景色が広がってきました。
トムラウシ公園に入ったところで大休止。
上部に山頂が『おいで!』と呼んでいます。
今日は南沼までの予定でしたが『行きたい!』という気持ちと明日から天候が荒れてくる予報になったこともあり、南沼でテント設営後山頂に向かうことにしました。
キャンプ地は濃いガスに包まれていましたが山頂に登ると一転、青空が広がってきました。
至福のとき。
それぞれが魂があそぶようにカムイミンタラの世界に過ごしました。
南沼ではまだ雪渓が残っており、水場で浄水器を使用しての水汲み。
水汲みって不思議と気持ちよくなってきます。
山での夕食タイム。今夜はハンバーグカレー!
食事を終えて、夕暮れの山の世界に遊びました。
縦走二日目。
予報通り、朝から強い風が吹き荒れています。
今日は3時間ほどの行程でヒサゴ沼を目指す予定。途中、岩の積み重なったロックガーデンの通過もあります。
昨日の晴れあがった空の下の登山も、風雨の中の縦走もどちらも山の魅力。
今日はひとりひとりがしっかりと自分の身体感覚を働かせながら、かつみんなで協力しながら慎重に行動する必要があります。
別天地…ヒサゴ沼。
夕暮れ、学生たちともどもに沼に入りました。
透き通った水。肌に柔らかな感触。なんて心地よいのでしょう。
この縦走登山のひとつのクライマックスといえる場だったかもしれません。
学生たちの色とりどりのサンダルが流れてゆく…。
縦走三日目。
低気圧が抜けてからさらに風が強まりました。
テントが飛ばされるような風がヒサゴの沼を吹き抜けてゆきます。
波が立ち、沼はまるで海のよう。
テントを撤収し、避難小屋にて待機。
時折、外に出て出発のタイミングを見極めます。
風速20mは超えていたでしょう。ガスのかかっている上部稜線はきっと立っては歩けないに違いありません。
こんな体験もめったにできることではありません。美しい自然、穏やかな自然にふれるだけでなく、怖さを感じるほどの自然にふれることもあるがままの自然体験。
午前9時。
ようやく少し風の勢いが弱まり始めました。
今日の行程は化雲岳を越えて天人峡への下山。
上部での2時間ほどが風をまともに受ける地帯ですが、滑落や転落のリスクは少ないため慎重に行動すれば大丈夫でしょう。
準備を整え、小屋を出発。
一時間ほどの登りでようやく化雲岳の山頂岩が見えてきました。
吹き上げの風はすさまじく、倒されるほどです。
風とダンス。
強風のなかを歩き続け、次第に高度がさがり、雲を抜けました。
おだやかな世界。学生たちから歓声があがります。
午後4時、天人峡に下山。迎えにきていただいた大学のバスで大雪交流の家へ。
待望の温泉、そしてバイキングの夕食タイム!
疲れてはいても、ひとりひとりが最高の笑顔。
5日目、大学に戻り、装備の洗浄、片付けを終えて5日間の授業『縦走登山』を終えました。
5日間の授業を終えて。
今回は山のいろいろな面をみ、体験することができました。
そして前々から関わらせていただいてきた中高生対象の青少年自立支援事業のグレートジャーニー北海道から5年の歳月を経て、縦走をアウトドアライフ専攻の学生たちと成し終えたことにも感慨深いものがあります。
トムラウシ山は高く、大きく、懐が深く、神秘に溢れた世界です。
山が私たちを待っていてくれたようにも感じます。
その歓迎の在り様は山のすべてをみせてくれるようなやさしさと厳しさがありました。
そしてヒサゴ沼での沐浴の心地よさ。
私も含めて、この山の世界にふれたひとりひとりの身体にしっかりと刻まれました。
この5日間での体験・・・出会った自然、ともに過ごした仲間、そして「わたし」。
そのすべてに感謝します。ありがとうございました。