5月10日と11日の二日間、都立清瀬高校の環境保全体験活動を富士山で行いました。
今年で5年目になるこの活動。そもそもは都立高校に奉仕の授業が導入されたとき、担当の友人の
先生から生徒たちに富士山で清掃活動をさせたいのでお願いできないかと相談をいただきました。
そのときに、どうせなら「素晴らしいな、大切にしたいな!」と思えるような原点の感動体験をさせてあげませんかと提案したところ、「そうだ、それをやろう。」と同意いただき実現した活動です。
ゆっくり、じっくりとそれぞれのペースで自然と触れ合えるよう、一班を13人のサイズにしていただき、
ガイドがひとりつきます。
富士山南面の双子山の世界に3コースから3〜4班が入り、道なき道やけもの道を利用し、上へと抜けてゆく。
今年度は3月11日に大震災が起きたこともあり、自然はけして美しいだけでも、素晴らしいだけでもない。自然の素晴らしさにふれるのではなく、あるがままの自然に、身体とこころで直接にふれる体験をテーマとして活動しました。
4月27日に学校で行った事前講演でも生徒たちは積極的でした。
だれもが、いつ、なにが起きてもおかしくない世界に私たちは生きてあるという事実に気づいたのではないでしょうか。それは、「生きることへの問い」へとつながっているように感じます。
連休を終えた5月10日。いよいよ、体験活動の本番です。水ヶ塚駐車場に一日目の生徒3クラス120人がやってきました。
ガイドはサポートも含めて総勢15名。
いつもFOSに関わってくれているメンバーや新しく入ってくれた頼もしい仲間たちです。
実際に体験活動が始まってしまえば双子山を舞台に彼らと生徒のみなさんとの場となります。
開会式でこんな歌をうたいました。
鳥の声、きこえますか ♪
風のうた、きこえますか ♫
森のおと、きこえますか ♫
わたしの声、きこえますか ♪
さあ、体験活動のはじまりです!
双子の兄山の山頂にて
生徒と先生、ガイドを含めて約150人が双子山の世界を縦横に歩き、駆けてゆきます。
山頂からは一気に下る砂走り!なんとも楽しい下りです。
森に降りてきたところでそれぞれの班でクロージング。
一日の体験のふりかえりをしたり、優美特製の特大ホットケーキでティータイムを
楽しんだり・・・。急遽降り出した雨のため、各班それぞれに雨除けをして楽しんでいます。
その日の活動を終え、山中湖のFOSベースにてガイドメンバーでの夕食タイム!
明日は新たに180人近い生徒と先生方がやってきます。僕らもしっかりと食べ、
エネルギーを蓄える必要あり。初日の充実感もあり、若く元気なガイドメンバーで
楽しくにぎやかな場。それぞれが熱い思いを胸に一年に一度、集います。
これも、生徒たちとのふれあいとともに、この体験活動での私たちの大きな楽しみのひとつです!
体験活動二日目。
前日とは一転。大雨のはじまり。
富士山南西面に大雨警報がでていることもあり、直前まで森のキャンプ場で実施
することに変更していましたがベース出発直前に再度天気予報をチェックしたら
本格的な雨は夕方からに変わっていました。ぎりぎりの判断で双子山での実施に再変更!
降りしきる雨の中、生徒たちを乗せた4台のバスが到着。
道路も駐車場も激しい雨のため、開会式はそれぞれのバスのなかで行いました。
活動時間を少し短くし、雨の森の散策を楽しむプログラムでそれぞれの班で活動開始。
バスのなかで見る雨と、森のなかに入って感じる雨はまったく違ったものでした。
冷たい雨の富士山中腹の森。そのあるがままの自然の世界にふれ、生徒たちはどんなことを感じ、体験したことでしょう。
バスから出る前の、「こんな雨のなかで活動をするの?」という戸惑いの表情。
そして、森から出てきたときの生き生きとした顔の変化がすべてを物語っていました。
都内では実は普通に起きてある雨や風、そして晴れなどの天候の変化もあまり気にならないかもしれません。しかし、一旦山のなかに入ると、その変化は生きることと密接につながって感じられてきます。そしてその雨のなかに植物は生命をつなぎ、鹿や鳥たちも生きている。
のびやかに、自由に双子山の世界を駆け巡った一日目と冷たい雨の森にぎゅっと仲間とともに過ごした二日目。
言葉や知識を通して自然を学ぶのではなく、生身の身体で、こころでまず体験してみること。
そうした直接体験からひとりひとりが感じ、あるいは細胞レベルで刻まれた何か。
大震災を境に私たちひとりひとりが「生きること」を問い、どこに向かうのかを見つめる時代に入ってきたように思います。そうしたときに、この体験が、生きることについての様々な観念や価値観を身に着ける前に、彼らの原点のような体験になってくれたら・・・。
そのような願いを胸に、私たち15名のガイドで関わらせていただきました。もちろん、それぞれのガイドの思いも込めて。
今年の活動も充実のなかに終えることができたように感じます。
このような機会をいただいている清瀬高校の関係者の皆様にこころから感謝申し上げます。
また、真摯に全力で関わってくれた仲間たちにも感謝。
ひとりひとりの「いま」を通して、ここでの体験が開いてゆきますように!
まさ